石巻の今 ときどき世界

地元新聞の元記者が石巻・東松島・女川の観光や食、漫画、猫、震災・防災などの地元情報を紹介します。ときどき世界のまち歩きも書いていきます。

3.11大津波で3人の子どもを失った石巻の夫妻の物語が児童書に

 

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◎ 東日本大震災の大津波で3人の子どもを失った宮城県石巻市の遠藤伸一・綾子さん夫妻。悲しみを心の奥にしまい、地域住民有志と復興支援団体「チームわたほい」を結成し活動している。自宅跡には遠藤さんが木工職人の腕を生かして設置した木製遊具「虹の架け橋」があり、子どもたちが歓声を上げて遊ぶ姿が見られる。その二人の震災発生時からこれまでの活動の物語が、児童向けのノンフィクションとしてアリス館(東京)から出版された。

 かがやけ!虹の架け橋

 タイトルは「かがやけ!虹の架け橋-3.11大津波で3人の子どもを失った夫妻の物語」(四六判、112ページ、1,300円+税)。対象は小学校高学年から。作品は児童文学作家の漆原智良さんが取材し執筆した。事実確認などは、綾子さんが大きく貢献した。

 物語は

 遠藤さん一家は石巻市長浜町(渡波地区)に住んでいて被災した。掛け替えのないわが子を失い、生きる目的を失いかけた二人だったが、避難所となった渡波保育所で仲間に支えられた。伸一さんは避難所の活動を手伝うようになり、「チームわたほい」の活動につながっていく。のちに綾子さんも活動を手伝うようになった。 

 そんな遠藤さんに、知人のNPO法人テイラー・アンダーソン記念基金の理事から、被災地の学校や幼稚園に木製の本棚を作ってほしいという依頼があった。テイラーさんは米国出身で、石巻市の英語指導助手(ALT)をしていて津波の犠牲となった。基金は、遺族らがテイラーさんの遺志を引き継ごうと設立し、石巻と東北地方の学校や児童生徒らを支援している。遠藤さんの子どもたちもテイラーさんに教えてもらった。それを知った遠藤さんは「子どもたちも喜んでくれる」と引き受けた。

  遠藤さんはある日、自宅跡にいて、子どもたちが遊具で遊ぶ姿が目に浮かんだ。支援団体の協力があり、震災から約3年後、自宅跡に子どもたちが自由に遊べる大きな木製遊具「虹の架け橋」を完成させた。

大人にも読んでほしい作品

 作品はこうした事実が描かれている。児童書だが、大人にも読んでほしい作品だ。

 伸一さんは「もうどうでもいいと思って沈んでいた私に寄り添って、落ち込む暇がないようにしてくれた周囲の人々がいた。それで私たちは救われた。あれ以上つらいことはないし、その思いは一生終わらない。人に簡単に話せるものではない。本にしていただいたことで、人間の温かさに救われたことが伝わればうれしい」と語っている。

全国の書店などで取り扱い

 同書は全国の主な書店、ネット通販などで取り扱っている。アリス館でも注文を受け付けている。石巻地方では今後、書店以外でも扱い店が増える見込み。決まり次第、このブログで紹介する。