石巻の今 ときどき世界

地元新聞の元記者が石巻・東松島・女川の観光や食、漫画、猫、震災・防災などの地元情報を紹介します。ときどき世界のまち歩きも書いていきます。

若者たちが語る3.11とその後 3.11メモリアルネットワーク若者トーク

 東日本大震災から間もなく丸8年になろうとしている。当時、小中学生だった子どもたちも高校生や大学生、社会人になっている。そうした若者の中から今、震災体験を語る活動をする人たちが出てきている。12月22日に宮城県名取市閖上の津波復興祈念資料館「閖上の記憶」で開かれた「若者トーク あの日のいろんなこと」もその一つだ。

なぜ、防災・減災活動をやるのか

 東日本大震災の体験と教訓を後世に伝える語り部や、趣旨に賛同する企業・個人・研究者らのネットワーク組織「3.11メモリアルネットワーク」(事務局所在地・宮城県石巻市)のプロジェクトだ。

 4回目の今回は、武山ひかるさん(18)=高校3年、東松島市=、相澤朱音さん(19)=大学生、東松島市=、吉田耕貴さん(23)=自営業、名取市=、千葉蓮さん(15)=中学生、石巻市=、永沼悠斗さん(24)=大学生、石巻市=、山川竜輝さん(23)=大学生、女川町=の6人が参加した。3.11メモリアルネットワーク企画部会長の佐藤敏郎さん(大川伝承の会共同代表)が進行役となり、前半は山川さんを除く5人がそれぞれ自らの震災体験を話した。

 武山さんは、小学4年の時に被災した。当時、片付けなどを手伝おうとすると、大人から「危ないから」と止められたこと、その後、親から家の片付けをやらせてもらい、「自分がいてもいい存在だ」と思えたことを紹介。災害時でも「子どもにも少しでもいいから、何か手伝わせてほしい」と訴えた。武山さんは高校1年の時から語り部を始め、被災地の案内や講話、地震に関する子ども向けのワークショップの講師をしている。イラストを活用したワークショップの進め方も説明した。

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武山ひかるさん

 相澤さんは当時小学5年。津波で親友をなくし、「自分も死んでしまったほうがよかった」と思った。今、笑顔を見せながら話すことについて「笑顔でないと泣いて話せなくなるので」と胸の内を明かした。震災後、親友を失ったことで暗い性格になった。時間がたち、「主人公が友人に助けられる場面のある本を読んで、生きてていいんだ、と思い、変わった」という。相澤さんはまた「語り部の話を聞いた人も語り部になれます。きょう、家に帰ったらきょうのことを家族に話してください」と訴えた。

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相澤朱音さん

 千葉さんは石巻市の内陸部に住み、津波の被害には遭っていない。石巻市子どもセンター「らいつ」の子どもまちづくりクラブに参加し、2015年には「子どもまちづくりリーダーツアー2015」の活動の一環として、復興大臣へのまちづくり提言に参加した。千葉さんは「活動を通じて物事をいろいろな角度から見られるようになった」と話した。

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千葉蓮さん 

 吉田さんは当時中学3年。卒業式を終えてから大震災が発生し、自宅で片付けをしている時に津波に襲われた。何とか内陸部まで避難したが、同級生3人が犠牲となった。成人式にはみんなで集まろうと話していたことから、集まる場を作った。「津波の知識はなかった」と言い、「災害、2次災害について伝え続けたいと決意を示した。

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吉田耕貴さん

 永沼さんは当時高校生だった。大川小2年だった弟と祖父が津波で亡くなった。慌ただしく過ぎていく日々の中で震災に向き合うことはなかったが、大学生になって恩師から弟の誕生日に電話をもらい、大切なもの何か、ということに気づかされたという。大震災の2日前に大きな地震があり、自分の中ではまた大きな地震が来たらどうするか考えたが、家族と共有できなった「人生最大の後悔」が、防災・減災活動の出発点だという。

 なぜ、防災・減災活動をやるのか

 ■次の世代(自分の子供や孫の世代)が笑顔でそれぞれ自分の夢を叶える世界にしたい

 ■災害が多発する社会において、自分の経験したことを社会に還元できるか価値に変換して命が輝ける社会にするため

 ■自分が生かされている使命を全うするため

永沼さんはそう語った。

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永沼悠斗さん

 後半は山川さんを加え6人で意見を交わした。山川さんは「つながりができることは良いこと。そこからさらに伝わっていく」と話した。防災士の資格を持つ永沼さんは、「防災・減災のワークショップで使うプログラムは、めちゃくちゃ勉強して作った」という。

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若者6人の座談会(左から進行役の佐藤さん、武山さん、相澤さん、吉田さん、山川さん、千葉さん、永沼さん)